天鏡のアルデラミン/3話感想 エリート帝国騎士様の華麗なる士官学校生活。そしていよいよ始まる模擬戦の行方は?
2016/08/01
第三皇女を無事帝国まで連れて帰った恩賞で帝国騎士の称号と高等士官学校入学を認められたイクタら5人。華麗なる士官学校生活が始まるねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン第三話『高等士官学校の騎士団』のレビューです。
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2016/08/01
第三皇女を無事帝国まで連れて帰った恩賞で帝国騎士の称号と高等士官学校入学を認められたイクタら5人。華麗なる士官学校生活が始まるねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン第三話『高等士官学校の騎士団』のレビューです。
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イクタ・ヤトリ・トルウェイ・マシュー・ハロらに加え、ファミーユ姫も入学することになった高等士官学校の新生活。
帝国の新たなる英雄ということもあり、とにかく何かと目立つ面々。早速因縁を付けられるイクタですが意に介さないどころか逆に返り討ちにしちゃいます。
漂着後のサバイバル生活でもカエルや捕まえた動物の肉を食べてましたしね。貧乏孤児院育ちで虫くらいおやつ代わりにしていたのかも(笑)
遅れて授業に参加するファミーユ姫。恐らく皇女としての公務か何かで遅れたのでしょう。多分。
末席、イクタの隣に座った姫は教師の目を盗んで手元の黒板を使ってイクタと文通をします。
その内容は実にほのぼのとしたもの。結構姫も普通の(?)学園生活を満喫している感があります。ところで愛人を連れ込めないのなら校内の生徒や職員を落とせばいいと思うのですが…まぁ後々問題が出そうですケド(笑)
授業そっちのけでイクタとのやり取りに夢中になっていた姫。教師から指名を受け慌てて立ち上がるも当然答えられずしどろもどろ。イクタのフォローでなんとか場を凌ぎます。
こういったそつない処がイクタの天才性の発露ですね。
さらにその後教師から続きの回答を要求されるイクタ。求められた以上の回答を答申します。
さらに述べるのは『戦力の数』と『戦力の位置』という旧来の戦術概念に『時間ごとの彼我戦力の数と位置を把握すること』で勝機を見出す重要性についての見解。まさに天才軍師の片鱗という奴ですね。
そしてトルウェイもまた己の運命と直面。それは士官学校の上級生でもある兄サリハスラグとスシュラフとの再会でした。
トルウェイはネチネチと嫌がらせを受けるも必死で我慢します。乱入したイクタが自ら体を張り、また状況を活用して巻き込んだヤトリ、そしてファミーユの威光を利用することで兄達を上手くやり込めます。
それはさらなる恨みを買うだけの話だったのですが、それすらもイクタにとっては計算の内だったのでしょう。少なくとも目標が分散することでトルウェイ一人への負担は減ります。口では何のかんの言いつつイッくんは優しいですね(笑)
士官学校では大規模な模擬戦を前に新入生の小隊編成が行われます。その中でも優秀な生徒は小隊長に抜擢。ヤトリは焼撃兵第1訓練小隊、トルウェイは風銃兵第1小隊。そしてイクタは光照兵第3小隊をそれぞれ担当することに。
言及はありませんがマシュー、そしてハロもそれぞれ小隊長になっている模様。
早速小隊の謁兵を行うイクタ。敬礼する光照兵第3訓練小隊の副官スーヤ・ミットカリフ曹長。ですがその態度は実にツンツンと慇懃無礼です。
スーヤ「でも准尉殿、もう二度と気安く、母の名前を呼ばないでもらえますか? …たかが間男の分際で」
それもそのはず、スーヤは2年前イクタが懇ろになっいたご婦人、アミシアの娘だったのです。小隊内には(というか全部隊に?)既にその悪評が広まっており兵の信頼度は最低からのスタートです(笑)
模擬戦の日程が決まり、イクタ・トルウェイ・マシューの3小隊とヤトリ・サリハ・スシュラの上級生混成3小隊が戦うことになりました。
もちろんトルウェイ兄らの策謀、演習という名目でいたぶる気満々です。イグセム家のヤトリを自軍に引き入れる辺り、したたかさ(恐らく教師側への根回し)も見受けられます。
この状況を利用しイクタはスーヤにある取引を持ち掛けます。作為的な思考誘導もあり、模擬戦の指揮権を獲得することに成功します。
いよいよ始まる演習。雨の中を行軍する3小隊。全軍の指揮を取るのはイクタの役目。トルウェイに至ってはヤトリ並にイクタのことを心から信頼する様になっています。ちょっとこのイケメン、危険かもしれません(笑)
本来は野営を挟んで丸1日で30キロの行程を進む計画だったのを、途中荷物をデポする(置いていくこと)ことで日暮れまでに目的地への移動を図るイクタ隊。
ちなみに第二次世界大戦時の英国陸軍の基本装備の重量は約5kg。戦闘の際には兵装が約10kg追加。行軍時にはさらに専用装備を約7kg追加。ちなみにこれには武器弾薬の重量は含まれませんので銃や剣、弾薬は別途加算されます。ライフル1丁だけで約4kgはあったそうです。
それらのほとんどをデポして必要最低限度の荷物と武器のみで目的地へ再進軍。演習レギュレーションぎりぎりの作戦です。
もちろん実際の戦争で行うには非常に危険な賭けです。しかしこれが演習である以上、後先を考えない一手が可能です。レギュレーションはモラル上遵守せねばなりませんが、戦術そのものに決まった定石など存在しないのが戦争です。
イクタの企て通り日暮れ前に目的地に到着したイクタ隊。不可能を可能にするイクタの采配にスーヤも驚きを隠せません。さらにイクタは配陣についても先手を打ちます。先に陣を引くことで次の状況をコントロールするつもりなのでしょう。
翌日プラン通りに到着するサリハ隊。最初は余裕を見せますが、既にイクタ隊が到着している上、想定と異なる川向こう岸に陣を配したことを知り、慌てて陣を張りに川辺へ向かいます。上級生が新入生に遅れたとあっては恥と感じたのでしょう。
しかも斥候を出して周辺を警戒しているヤトリと異なり、サリハは斥候も出していない体たらくです。
既に陣を配して戦闘準備万端のイクタ隊。しかも川向うに対峙するという絶好の地形効果。
足場が悪く電撃戦には不向き、しかも風銃には射線が通りやすく有利、かつ守る側には遮蔽物もなく無防備。それが川という地形です。
トルウェイの風銃兵部隊の力を最大限に有効活用し、ヤトリの焼撃兵部隊の力を最小限化する嫌らしい策です。全く幼馴染にも容赦ありません(笑)
次回はいよいよ演習本番。2重3重の計略で策を巡らせ戦略的に有利な状況を作り上げましたが基本的な実力は相手が上なことは確かです。果たして実力不足を知略で埋めることは出来るのか? ヤトリの牙がイクタの罠を食い破るのか、それともイクタがそれを上回る智将の片鱗を見せるのか?
かなりスピーディーな展開ですがこれはこれでテンポがあって良いですね。戦記物なのでやはり戦いが見たいですし。本格的な軍団戦が描かれる次回、このファンタジー世界における戦争がどの様なものなのか、どう描写されるのか、その点も楽しみです!
(ごとうあさゆき)
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